シマノがリリースするベイトリールの中でも高いコストパフォーマンスとバランスの取れた仕上がりで各方面から絶大な人気を誇るシマノのSLX MGL。様々なルアーやシチュエーションに対応し、初心者アングラーはもちろん、エキスパートでさえも納得するほどの優秀な実釣性能は、まさに道具としての本質をとらえたモノと言えるでしょう。しかしながらリールというのは実釣で使い込んでみて、はじめてわかる性能の方が圧倒的に多いのもまた事実。今回はそんなシマノのSLX MGLを長期間使い込み、実際に感じた私なりのインプレッションをその特性と合わせて皆さんにご紹介します。
Contents
シマノ SLX MGLのスペックと外観
ここではシマノ SLX MGLの基本スペックと外観の特徴をご紹介します。リールは実釣で使い込まないとその細部までは分かりませんが、数字として表記されるスペックは1つの目安となります。
シマノ SLX MGLのスペック
・スペック
🔹重さ:195g(ノーマルギヤは190g)
🔹ギヤ比:ノーマル6.3 HG7.2 XG8.2
🔹最大巻取り長:ノーマル63cm HG72cm XG82cm
🔹最大ドラグ力:5.5㎏
🔹ライン:12LB‐100m 14LB‐90m 16LB-80m 20LB-65m
🔹ベアリング数(ボール/ローラー):4/1
シマノ SLX MGLの外観
正面
ロープロファイル機らしく、しっかりとローダウンされたフロントフェイス回り。高さをおさえた基本に忠実な作り込みはとても使いやすくパーミング性と操作性を上手に両立させています。
左側面
大胆に肉抜きされたハンドルと、ブルーのアクセントが目を引く左側面。大型で操作しやすいメカニカルブレーキは微調整もしやすく、積極的にブレーキセッティングをしやすい作りになっています。またハンドル側にはギヤ比も大きく記入され、一目でギヤ比がわかるようになっています。
後面
マットブラックを基調としたボディには軽量化と高い剛性を両立させたHAGANEボディを採用。メインフレームにアルミニウムを使用することで実現した優秀な剛性感は、キャストやファイト中に発生するリールのたわみや歪み、ネジレをしっかりと抑制し、高い操作性やスムーズなリーリングを長時間にわたって可能としてくれています。
右側面
メインブレーキユニットには様々な機種で採用され、高い完成度で抜群の信頼と実績を誇るSVS ∞ (インフィニティ)を搭載。大型の外部ダイアルで1~6の5段階調整が可能なユーザーファーストな仕様は非常にシンプルで簡単に幅広いセッティングを可能としています。
上面
全体的に見ると非常にハイバランスな仕上がりとなっているシマノのSLX MGL。ベイトリールに必要なキャスト性能、剛性、そして巻き心地を兼ね備えた仕上がりは、初心者からエキスパートまで、たくさんのアングラーから絶大な信頼を勝ち取る高い完成度を持っています。
シマノ SLX MGLの使用感
今回はバーサタイルな性格を持つエクスプライド166Mと組み合わせをメインにテストを行いました。
ここでは実際に私自身が、SLX MGLを使い込んで感じた使用感を紹介します。皆さんもご存知の通り、リールには使ってみてはじめてわかることがたくさんあります。
飛距離(キャストフィール)
非常にハイレスポンスで立ち上がりの良い32㎜のMGLスプールを搭載したSLX MGLは、非常に幅広いルアーウエイトに対応し、小径スプール特有の鋭い初速と遠心ブレーキらしいキャストフィールが特徴的なモデル。クイックな立ち上がりを見せるスプールとブレーキシステムはややピーキーな一面を持っていますが、しっかりとブレーキセッティングを煮詰めればハイエンドモデルにも匹敵するようなキャスト性能を発揮し、エキスパートも納得するほどの深い懐を持っています。
実釣で対応が可能なルアーウエイト
やや小さめながらワイドな小径スプールとセッティング幅の広い遠心ブレーキを持つSLX MGLは1/4oz(7g)から2oz(56g)をストレス無く扱う事が可能。数あるベイトリールの中でもスプールとブレーキの特性を上手く利用して獲得したワイドなパワーバンドはこのリールが持つ最大の特徴と言えるでしょう。また、遠心ブレーキ特有のレスポンシブで独特のブレーキ特性は近距離のアキュラシーキャストから飛距離重視のロングキャストまでバランス良く対応し、様々なシーンで活躍するバーサタイルマシンとしてトップクラスの性能を有しています。
テストで使用したルアーの一部。ハード、ソフトを問わずに様々なルアーとウエイトをストレスなく扱えるSLX MGLの特性は、数あるベイトリールの中でもトップクラスの対応力と言えるでしょう。
剛性感
ハイエンドモデルにも採用されるHAGANEボディを採用し、ボディ全体の剛性を高めたSLX MGLはリールに負荷のかかりやすいヘビーウエイトのルアーやカバーでのパワーファイトにも十分対応する事の出来るタフさを持ったリール。アルミのメインフレームに樹脂製のサイドプレートを組み合わせたシャーシセッティングは1ランク上の機種にも対抗できるほどの作りとなっています。
巻き心地
ずっしりとウエイトがあり、マキモノ系リールに採用されることの多いブラス製のメインギアを搭載したSLX MGLの巻き心地は、最良とは言えないまでも実戦で十分戦力となるレベル。コストの上がるマイクロモジュールギアをあえて採用せず、耐久性と巻き心地のベストバランスを狙ったセッティングとなっています。使い込む事で劣化しやすい巻き心地を長期間維持する事の出来る設定は、道具を使い倒す実戦主義のアングラーや、釣行機会の多い成長期のアングラーにこそ相応しいリールに仕上がっています。
コストが掛かるがシルキーな巻き心地となるマイクロモジュールギヤをあえて不採用とし、十分な巻き心地と耐久性を狙ったSLX MGLのブラス製ドライブギヤ。ピークパフォーマンスよりも安定したエンデュランス性能を重視したセッティングは、このリールが魚を釣るための道具である何よりの証です。
操作性
繊細な操作を必要とするワーミング系の釣りや細かいロッドワークを必要とするトップウォーター、ジャークベイトなどの操作系の釣りに必要な操作性ですが、SLX MGLのハンドリング性能は可もなく不可もなくと言ったところ。低くオフセットされたロープロファイルスタイルは指を掛けやすい反面、ややワイドな横幅を持つリールをしっかりとパーミングするには少し慣れが必要と言えます。また、195gの自重は様々なシーンで活躍するバーサタイルなセッティングと言えますが、小さな違和感が大きく釣果を左右するワーミングの釣りにはロッドとの組み合わせによって少し重たく感じる事があります。いずれも慣れてしまえば問題はありませんが、その実釣性能を引き出すためにはある程度の使い込みが必要と言えるでしょう。
シマノ SLX MGLの特徴
ここでは他のライバル機種には無い、シマノSLX MGLの持つ強力な特性にフォーカスして紹介します。コストパフォーマンスを優先しながらも高い実釣性能を誇るSLX MGLには、数字には表れない小さなこだわりをたくさん詰め込込まれています。
様々なシーンで活躍するハイバランスなボディデザイン
SLX MGL(左)と、上位機種である20メタニウム(右)の比較
小さすぎず、大きすぎないバランスの取れたボディサイズが特徴的なSLX MGLは、自重も195gと非常にバーサタイルなスペックを持っています。重すぎず、軽すぎない絶妙な重さは7g前後のような繊細な釣りからビッグベイトゲームのような豪快なパワーゲームまで幅広く適応し、巻き主体の釣りからワーミングゲームまであらゆる釣りでその実力を発揮します。
HAGANEボディを採用して鍛え上げた高剛性スペック
HAGANEボディを採用したSLX MGLはメインフレームにアルミニウム合金を採用し、相反する強度と軽さを両立させた1台。ビッグベイトをフルスイングしたり、カバー際でフルフッキングをしてもリール本体のゆがみや捻じれを一切感じない作りは、道具の扱いに慣れていない初心者のラフな扱いでもそのパフォーマンスを長期間保つ事の出来るタフさを持っています。
幅広いルアーに対応するハイレスポンスな32㎜のMGLスプール
スプール自体の重量は13g。同じMGLスプールを採用する20メタニウムはよりも約1g軽い設定
様々なモデルで採用され、高いレスポンスと初速を誇るMGL(マグナムライト)スプールを搭載したSLX MGLは、32㎜の小径スプールとする事で軽量なリグとのマッチアップでも鋭い立ち上がりとシャープなキャストレスポンスを実現。すでに熟成の域に達したSVSインフィニティブレーキとの組み合わせは立ち上がりの良さと後半に掛けて気持ち良く抜けるブレーキ特性が特徴的で、そのロングキャスト性能は上位機種に迫る性能を発揮します。
シマノ SLX MGL長期使用インプレッション まとめ

シマノ SLX MGLの特筆すべき特徴
・圧倒的なコストパフォーマンス
・エントリーモデルながらエキスパートも納得する高い基本性能
・どんなロッドやルアー、釣り場やスタイルにもマッチするバーサタイルな性格
・ほどよいマニュアル感でセッティングによっては上位機種に迫る性能を発揮
・長期間初期性能が落ちない耐久性と優秀な剛性感
圧倒的なコストパフォーマンスを誇るエントリーモデルと言う立ち位置ながら、エキスパートやベテランアングラーも納得する高い基本性能と優秀なバーサタイル性能を有したシマノのSLX MGL。1万円半ばの価格でこれだけの戦闘力を持ったマシンをリリース出来るのは、今まで様々なベイトリールを世に送り出して来たシマノならではと言えるでしょう。アングラーが必要とする性能には十分にコストを掛け、不必要な部分はバッサリと切り捨てたような作り込みは非常に懐が深く、中~上級者が使えばハイエンドモデルにも勝るとも劣らない実釣性能を発揮する実力を持っています。釣り具というのは基本的には高価なモノ=高性能なモノとなりがちですが、SLX MGLはその法則性を根底から覆す事が出来るほどの実力を有した数少ないリールの1つ。ベーシックを極めた実釣マシンのケタ外れなパフォーマンスをぜひ皆さんも体感してみてください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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