強めのティップセクションは掛け感重視の釣りで真価を発揮!!
シャープな操作性と感度で積極的に攻めていける攻撃型ロッド!
シマノのリリースするエクスプライドシリーズは落ち着いたコスメティックとハイエンドモデルに迫る性能でエキスパートはもちろん、初心者の方にも絶大な指示を受けるロッド。必要な部分にはしっかりとコストと手間を掛け、削れる部分は思いきって削る事で高い性能とコストパフォーマンスを両立させています。その絶対実戦主義な作りは様々な面で後発ロッドにたくさんの影響を与え、その後リリースされるロッド達の一種の「基準」とされるほどのシリーズとなりました。
今回はそんなエクスプライドの中でもバーサタイルな性格を持ち、中核的なモデルと位置付けされているエクスプライド166Mを実釣で使い込んできました。用途の広いミディアムパワー、6.6フィートのロッドというのは俗に言うバーサタイルロッドとされ、各メーカーから様々なロッドがリリースされている激戦区でもありますが、大手総合釣り具メーカーであるシマノの威信と技術を注ぎ込んだバーサタイルロッドの本質はいったいどのようなものなのでしょうか?元ロッドテスターが感じた素直な感想と、このロッドが持つ特性や個性を皆さんにお伝えしてみたいと思います。
Contents
エクスプライド166Mのスペック
長さ:1.98cm(6.6ft)
継数:1本
仕舞寸法:198.0cm
重さ:112g
適合ルアーウエイト:7~21g(1/4~3/4oz)
適合ライン(フロロ・ナイロン):8~16LB
グリップ長:235㎜
テーパー:RF(レギュラーファーストテーパー)
エクスプライド166Mの外観とデザインの特徴
ここではエクスプライド166Mが持つ外観とデザインの特徴を紹介します。セパレートでセットされたコルクとEVAのリアグリップやガイドセッティングにもそれぞれ意味があり、細部に散りばめられた製作者のメッセージを読み解くことが出来ます。
全体的なデザイン
ブラックをメインに、必要最低限のコスメを施したエクスプライドシリーズ統一の外観は非常にシンプルで引き締まったイメージがあります。良い意味で主張の少ない落ち着いたルックスはどんなリールともなじみ、コルクとEVAをミックスアップしたグリップ周りは、高性能なロッドに不可欠なバランスとコストダウンを高い次元で両立させています。
グリップの長さ
扱いやすさや取り回し、使用感に影響するグリップ長は235㎜。6.6フィートのレングスにちょうど良い平均的な長さのリアグリップは、取り回しの良さと高い操作性をあわせ持ち、ダブルハンドでのオーバーヘッドキャストをはじめとした様々なキャストがしやすいセッティングとなっています。どんなフォームにも対応出来る作りは使うフィールドやシーンはもちろん、アングラーの体格差やスキルに左右されにくく、常に安定した実力を発揮してくれます。
ブランク
ロッドの性能を大きく左右するロッドブランクは高弾性カーボンをメインマテリアルにハイパワーXで補強したブランクを採用しています。
全体的にハリを感じるブランクは非常に軽く感じ、非常に高い操作性と使いやすさを両立させています。レギュラーファーストテーパーとすることで色々なルアーやリグへの適応能力を引き上げたブランクはシャープなイメージが強く、優秀なロッドバランスは、長時間の使用でも疲れにくく、ハイエンドモデルに迫るレスポンスと使いやすさを持っています。
リールシート
出典:シマノ様
マットラバーコーティングにより見た目にも高級感があるエクスプライドシリーズのリールシートは、シマノ独自の素材CI4+を使用し、どんな人でも握りやすく高強度と軽さ重視したコンパクトデザインで優秀な感度と操作性が印象的。長時間の使用でも疲れにくく、軽く握っても力を入れやすいディテールは油断している時の不意打ちバイトもしっかり対応できる作りと言えます。
ガイド

ロッド自体の性格や性能に大きく関わるガイドはステンレスフレームにSiCガイドの組み合わせでミドルクラスの定番と言えるセッティング。軽量でキャストフィールに優れ、トラブルの少ないセミマイクロガイドを用途やテクニックに合わせた専用セッティングとする事でブランクスの性能を引き出しています。コストパフォーマンスを優先しながらも必要な部分にはしっかりとコストを掛ける所はエクスプライドシリーズがハイエンドモデルに匹敵する最大の要因となっています。
エクスプライド166M 実釣インプレッション
テストしたルアーの一部。今回はバーサタイルロッドということで使用する事の多い5~21g辺りのハードベイトやリグを中心にテストしています。
エクスプライド166M & ファーストムービング
バーサタイルロッドとしてリリースされているエクスプライド166Mはどんなフィールドでも出番の多い7~14g(3/8~1/2oz程度)のハードベイトが非常に使いやすいロッドになっています。特に3/8ozのスピナーベイトやスイムジグなどはマッチングも良く、ハリのあるブランクは”シングルフック”を使用しているファーストムービングとの相性が良いと言えるでしょう。シャープで軽量な特性は操作性も高く、トップウォータープラグをイメージ通りにアクションさせることが出来ますが、クランクベイトなどには少し強く感じます。60㎝程度の潜行能力を持つ通常のシャロークランクから1.8mダイバーの一般的なミドルレンジクランクは扱うことが出来ますが、複数本ロッドを使える状況ならクランクベイトはもう1ランクやわらかいロッドを使用した方が良いというイメージ。クランクベイトにはハリが強すぎるブランク特性は、バイトが弱いタフな状況や、ここ一番の場面で釣果に大きな差が生まれます。
エクスプライド166M & ワーミング
非常に軽量なエクスプライド166Mはシャープな使い心地で操作性高く、7~10g程度のリグであればほとんどのメゾットにマッチします。特にオープンウォーターで使用する軽めのジグやテキサスリグ、ヘビーダウンショットを1本のロッドでこなせるアドバンテージは持ち運べるロッドに限りがあるオカッパリで活躍します。また、本来であればピーキーな特性となりそうなブランクをあえてレギュラーファーストテーパーとする事でマイルドさを出し、リリースタイミングに余裕を持たせた作りはロングワームを使ったベイトネコで威力を発揮。キレイに曲がるテーパーデザインは身切れが多く空気抵抗の大きい”飛ばない”ロングワームをしっかりポイントまで届けてくれます。
エクスプライド166Mの特徴
ここでエクスプライド166Mが持つ特性と優れた特徴を3つご紹介します。ロッドの持つ特性をしっかり理解して使うことが道具本来の性能を引き出し、釣果を伸ばすコツと言えるでしょう。
長時間使っても疲れにくいハイバランス設計
エクスプライド166Mを手に取って先ず最初に感じるのは非常に優秀なロッドバランス。6.6フィートのレングスで自重112gは決して軽くは無いですが、「あれっ?」と感じる感覚があり、しっかりと重心を集中させたロッドバランスには目を見張るものがあります。
現在ではリールの軽量化が進み、高い感度とコントロール性を発揮させるにはロッド自体が持つバランスが何よりも重要となっています。ニュートラルでハイバランスな設計のエクスプライド166Mは長時間使用してもストレスを感じにくく、疲れにくいので集中力が続き、道具として使い手をサポートする一面が強いロッドと言えます。
キャスタビリティー性能と操作性を両立させたブランク
エクスプライド166Mが持つ大きな特徴の一つとして高いキャスタビリティー性能と操作性を高次元で両立させた特性があります。
一般的なバーサタイルロッドに採用される6.6フィートのレングスは、どんなフィールドやシチュエーションでも使いやすさを感じるギリギリのレングスで、初心者からエキスパートまでスキルや経験を問わず使える最長のレングスと言えます。長すぎるロッドというのは操作性が悪い上に取り回しにくく、扱いには慣れが必要なため経験者やエキスパート向きですが、短すぎるロッドは高い操作性を得られる反面、ロングキャスト性能やキャストフィールに問題が生まれ、場合によっては狙いたいポイントに届かずに決定的な性能不足となる事も・・・エクスプライド166Mは、少しハリの強いブランクでルアーを打ち出す反発力強めながらも曲がりやすいレギュラーファーストテーパーとする事でウエイトを乗せればしっかりと曲がる特性のブランクを持っています。しっかりと曲げることで仕事をするブランクは優秀なキャスタビリティー性能を発揮し、ハリのあるブランクがセンシティブな感度と操作性を両立。遠く離れたルアーの状態がしっかりと伝わる特性は、ディスタンスが必要な状況やロングキャストを生かせるビッグフィールドはもちろん、オカッパリゲームでも大きなアドバンテージとなります。
使用率の高いウエイトをしっかりカバーするロッド特性
エクスプライドシリーズはミドルクラスのロッドながらもテクニックや使用するルアーに合わせてアイテムそれぞれに専用設計を採用した用途特化型モデル。だからこそ、ハイエンドモデルに匹敵する高い実釣性能を持っていると言えますが、その中でも今回紹介しているエクスプライド166Mはフィールドやルアーを選ばないエクスプライドの中核的モデルで、他のモデルには無い高い汎用性を持っています。
特に特筆すべきはルアーウエイトに対する高い適応能力。
7~21g(1/4~3/4oz)のウエイトを持つルアーというのは日本全国どこのフィールドでもメインに使われることが多く、その日の釣りを組み立てる上で絶対に外せないウエイトとなりますが、エクスプライド166Mはスペック上で表記されている通り、まさにこのウエイトレンジがどストライクなウエイト帯。軽く振っただけでは少し硬く感じるブランクも、このウエイトではしっかり曲がり、ミドルクラスとは思えない圧倒的なポテンシャルを発揮。エクスプライド166Mがバーサタイルロッドと位置付けられる最大の要因は、この幅広いウエイト対応力にあると言えるでしょう。
エクスプライド166M 実釣インプレッションまとめ
オールラウンダー特有な性能の中に、しっかりとした個性を持つエクスプライド166M。初心者の方にとってはマルチな性格ですが、シャープでハリのある特性はワーミングなどの掛けていく釣りにマッチしたスペックになっています。
エクスプライド166Mと相性抜群のリグ&ルアー
・3/8~1/2ozクラスのペンシルベイトやポッパー
・3/8~1/2ozクラスのジャークベイト
・1/4~1/2ozクラスのスピナーベイト、バズベイト
・1/2oz程度の小型スイムベイト
・1/4~3/8ozのスイムジグ、チャターベイト
・1/4~3/8ozのテキサスリグやラバージグ
・1/4~3/8ozのヘビーダウンショット
・6~8インチワームを使用したネコリグ
・4~6インチクラスのシャッドテール系ワームスイミング
・4~6インチのバックスライド系ワーム、ノーシンカーによるカバー打ち
などなど
以上がエクスプライド166Mと相性抜群のリグやハードベイトになります。
ひとくちにバーサタイルロッドと言っても実はクランクベイトなどトレブルフックがついたハードベイトにフォーカスした「ノセ」重視のバーサタイルロッドと、ワーミングをはじめスピナーベイトやスイムジグなどシングルフックをしっかりフッキングさせる事に焦点を当てた「掛け」重視のロッドがあります。
エクスプライド166Mは紛れもなく後者で、シャープで素直な性格はタフコンデションで活躍するワーミングを中心に様々なファーストムービングに高い次元でマッチします。ハリのある印象的なブランクは、レギュラーファーストテーパーとする事で使いやすさとマイルドさをプラスし、初心者の方でもかんたんにそのポテンシャルを引き出せるような作りが特徴的。使用するウエイトや使い方を工夫すれば、驚くほどの懐の深さを見せるエクスプライド166Mは基本的なバーサタイル性能の上にしっかりした個性を持ち、アングラーのスキルが上がるにつれ、本来の色と特性を発揮します。
まだ始めたばかりでタックルが揃っていない初心者の方や、オッカパリやタックルの持ち込みに制限がある時にとっては強力なメインシャフトに、たくさんのタックルを持ち込める場合やある程度ロッドの揃っているエキスパートの方にとってはつぶしの効く高性能なサブロッドとしてエクスプライド166Mは使うアングラーの状況や技量に寄り添って持ち味が変わる特異なロッドと言えるでしょう。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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