ロッドには、同じメーカー内であっても様々な価格帯が存在します。
私たち消費者にとって、選択肢が増える事はとても喜ばしいことなのですが、どれを選ぶのが正解なのか、正直選択に迷う部分でもありますね。
特にロッドと言うのは決して安いものではないので、選択に失敗したくないのはみんな同じです。
ちかみやも昔はフィールドテスターとして、たくさんのロッド開発の現場に参加させてもらい、今まで使ってきたロッドの本数は100本では足らないと思います。
ありがたい事に、現在もしがないロッドビルダーとして、友人や知り合いのロッドを触らせてもらう機会には非常に多いと思っています。
そんなちかみやですが、昔も今も良く聞かれる質問の一つとして
値段の高いロッドと安いロッド、どこがどう違うの?
というものがあります。
この質問の答え、簡単に言ってしまえば性能。の一言で終わってしまいますが、
この記事ではもう少し解りやすく解説してみましょう。
※豆知識
価格の高いものが必ずしも一番優れているというわけではない。というのが現在の常識だとは思いますが、ロッドに関して言えば、上位機種(ハイエンドモデルやフラッグシップモデルなど)が下位の機種(ミドルクラスやエントリーモデル)に絶対性能で劣る事はまずありえません。
価格の高さがそのまま性能の高さになっている。良く言えば非常にわかりやすい構造になっているのがロッドの世界の特徴です。
Contents
ハイエンドモデルとエントリーモデルの根本的な違い
ハイエンドモデルとエントリーモデルを比較する前に、基本的な部分としてこの両者、決定的に大きく違う部分があります。その一つにコンセプトの明確さというものがあります。
ハイエンドモデル【高いロッド】
一つの釣り方や特定のシチュエーションに限定して作られているロッドが多く、非常に尖った性能を持っていて、一定の状況では高い性能を発揮しますが、釣り人にも高いスキルを要求してくるものが多いです。
エントリーモデル【安いロッド】
初心者から中、上級者まで誰もが使いやすいデザインになっていて、どんな釣り方にもある程度対応する事が出来る幅広い適応性能(バーサタイル性能)を重要視しているモデルが多く、ハイエンドモデルと比較して、特化した性能はないけれども全体的にマイルドな味付けになっていることがほとんどになります。
高いロッドと安いロッドの具体的な性能の違い
ハイエンドモデルとエントリーモデル。具体的に違いが出る性能は以下の4項目です。
軽さ
ロッドの性能で一番違いが出るのはロッドの重量です。
軽ければ軽いほど高性能と言ってしまっても差し支えない位にロッドの軽量化は様々なメリットを引き出してくれます。特に感度の部分では軽いほど高感度になる傾向が強く、今まではバイトかどうか怪しかった違和感も明確な生命感として伝えられるようになったりします。
使いやすさ
先ほどのロッドの軽量化にもつながる部分はありますが、基本性能の高いロッドは道具としての扱いやすさも優秀なものが多いです。
中には7ftのロッドでも、軽量化によって6.6ftのロッドと同じくらいの使用感を実現しているものもあるので、使い勝手が良さも重要な性能と言えます。
ロッドが軽ければ、身体に掛かる負担は減少するので、その分集中力も長続きし、キャスト精度の向上や正確なロッドコントロールが出来るようになりますね。
パワー
本来、ロッドの世界において、軽さとパワーは相反する要素のはずだったのですが、様々な工夫を凝らして高い次元で両立させているのがハイエンドモデルの大きな特徴の一つです。
特に素材や製法による部分が大きく、エントリーモデルでは採用出来ないようなコストの掛かる製法や素材は基本性能の底上げに貢献します。
見た目
「ロッドの見た目やカッコ良さって性能にはあまり関係ないじゃん。」
と思うかもしれなませんが、意外とそうでもないんです。
見た目がかっこよかったり、自分がお気に入りのロッドだったりすると、それだけで釣り人のテンションが上がったり、集中力が長続きします。
釣りというのは、どんな釣りであっても集中力の差がそのまま釣果につながる事がよくあります。
結果として釣果アップにつながる性能であるならば無視できない要素と言えるのでは無いでしょうか?
ロッドの性能差が生じる3つの理由
では、上記した性能差はどうして生じるのか?
それにはこのような理由があるからなんです。
そもそも製法が違う
値段の高いロッドはロッド性能の大部分を決定するブランク本体の製法から、ブランクの性能をフルに引き出すための補助的な製法(シマノのスパイラルXやダイワの3DXなど)をコストの心配をせずに採用することが出来ますが、コストパフォーマンスを重視するモデルは生産するコストにも上限があるため、泣く泣く採用を見送るなんて事もあります。
使える素材や材料が違う
先ほど出てきたブランクの素材から始まり、ガイドやグリップなど使えるパーツもロッドの性能に大きく影響します。
特にガイドはロッド自体の性能に大きく関わってくる要素の一つで、ロッドの価格差=ガイドの違いといえるくらい、ハイエンドモデルとエントリーモデルでは採用しているガイドの種類が違います。
テストや開発につかえる費用も違う
価格の高いロッドと安いロッドではテストや開発に使う時間や費用も違ってきます。
もちろん、テストや開発にたくさんの費用と時間を使えた方がより良い物が出来るようになります。
エントリーモデルに代表される低価格帯モデルと言うのは、こういった諸々の予算が厳しいのが現状です。控え目な価格であっても、企業としてはしっかりした利益を残さなければならないため、ロッド性能や装備が犠牲になることも少なくありません。
一方ハイエンドモデルやフラッグシップモデルはメーカーとしての威信をかけたモデルの為、多少コストが膨らんでも妥協のないものづくりをしている事が多いです。
フラッグシップモデルはメーカーの”顔”と言われる商品なので当然と言えば当然のことなんですけどね。
高いロッドと安いロッド 価格の違いは何の違い? 今回のまとめ
価格の高いロッドと安いロッドの違いは使える製法やマテリアルの違いから生じるトータルの性能差となります。
どの項目においても価格の高いロッドは安いロッドと比べて高性能になります。
では、この両者にはどの位の性能差があって、実際にどれくらい釣れる魚の量が変わってしまうのか?気になるところだと思いますが、
今までちかみやが様々なハイエンドモデル、エントリーモデルを使ってきて、その性能差をを文章にして例えたとしたらこんな感じです。
例えば同じ形の車に例えるなら・・・
最高速度300㎞出せて、コーナーもギュンギュン曲がれるのがハイエンドモデル、フラッグシップモデル
最高速度260㎞までスピードが出せるがハイエンドモデルと比べて全体的な性能がやや劣るのがエントリーモデルやミドルクラス(体感でハイエンドモデルより2~30%ほど落ちる)
おそらく、ちかみやが同じ系統のハイエンドモデルとエントリーモデル、両方を1年間づつ同じ条件、同じフィールドで使い込んでみたとしても、ロッドの性能差のおかげで釣れた魚が増えたとしてもせいぜい1~5匹くらいだと思います。
これならロッドうんぬんよりも素直に釣りのスキルを上げた方が、効率が良いですね。(笑)
最近リリースされているロッドは、例え価格帯がエントリーモデルと同様のモノであってもメーカー側の技術革新と工夫、努力のおかげでハイエンドモデルと比較しても大きな性能差は無くなってきていると思っています。低価格帯ロッドでも作りがしっかりしていて、申し分ない性能とコストパフォーマンスを両立させている優れたモデルが多くなった印象を個人的には持っているので、もしもあなたが釣れるロッドを探しているのならば、本当に大切なのはロッドの価格ではなく、自分の釣りやスタイルに合ったロッドを選べるのかどうかの部分ではないかと思っています。出来る限りハイエンドモデルでもエントリーモデルでも実際に使い比べてみるのが、きっと一番の近道ではないかと思いますよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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