さまざまなルアーを幅広く扱える懐の深さとタフでヘビーデューティーなイメージが強いダイワの主力ベイトリールであるジリオンシリーズ。国内はもちろん、本場アメリカでも高く評価されるスペックと堅牢な作りはリリースされて以降たくさんのアングラーと絶大な信頼関係を築き上げてきました。2020年末にはモデルチェンジによる大幅な変更を受けて最新型のモデルが登場し、すでに市場からは高い評価を受けていますが、私達ユーザーにとって一番気になるのはやはり実釣での使いやすさや性能面ではないでしょうか?今回は新型の21ジリオンSV TWを長期間使い込み、実際に感じた私なりのインプレッションを新型の特性と合わせて皆さんにご紹介します。
Contents
21ジリオンSV TWのスペックと外観
ここでは21ジリオンSV TWの基本スペックと外観の特徴をご紹介します。リールは実釣で使い込まないとその細部までは分かりませんが、数字として表記されるスペックは1つの目安となります。
21ジリオンSV TWのスペック
・スペック
🔹重さ:175g
🔹ギヤ比:P5.5 ノーマル6.2 H7.1 XH8.5
🔹最大巻取り長:P59cm ノーマル67cm H75cm XH90cm
🔹最大ドラグ力:5㎏
🔹ライン:14LB 45‐90m 16LB 40-80m
🔹ベアリング数(ボール/ローラー):8/1
21ジリオンSV TWの外観
正面
ダイワの意欲作では定番となったTWSを筆頭に、「ユーザビリティ」を各所に散りばめたフロント回り。大胆にロープロファイル化されたシャーシセッティングは先代モデルと比べてひと回り以上小さく、初心者から上級者までレベルを問わずに全てのアングラーが使いやすいデザインとなっています。
左側面
一度設定してしまえば、マグダイヤルのみですべてのルアーに対してブレーキ制御が可能となるダイワの「ゼロアジャスター」を採用した21ジリオンのメカニカルブレーキは”調整を必要としない”前提ながらもしっかりと溝が彫られて微調整がしやすく、小さな部分にもユーザビリティーを意識した作りになっています。また、食い付きを抑え、安定してムラなく滑り出す構造のUTDドラグはクリック音を発するのでラインが引き出される際のサウンドでファイト中でも感覚的に状況を判断する事が出来ます。ハウジングと同じく優れた強度と軽量感を両立するアルミ製の90㎜ハンドルは撃ちと巻きの双方のパワーフィッシングを見据えた作りでヘビー&タフなジリオンのイメージを象徴するような作りになっています。
後面
先代モデルとは一転し、シルバーの明るいボディカラーが印象的な21ジリオンはハイパーアームドハウジングを採用し、高い剛性とコンパクトサイズを両立。釣行時に最も触れる機会の多いクラッチにはハイパータフクラッチを搭載し、クラッチストロークを10%増やした内部構造はクラッチ返りを防いで確実なON,OFFを可能としています。
右側面
従来の大型ダイヤルではなく、人差し指でかんたんに調整出来るようになったブレーキダイヤルは0~20の20段階設定できめ細かなセッティングが可能。軽快なクリック音と共にコントロールしやすい仕様は慣れてしまうと直接目で見て確認しなくても感覚で調整が可能など使いやすい一面を持っています。
上面
劇的なコンパクト化と軽量化等、先代モデルと比べて様々な面でブラッシュアップされた21ジリオンですが、初代モデルから続くタフ&トラブルレスのコンセプトはしっかりと受け継がれています。人間工学に基付いたサムレストのように数々の小さな工夫が上手にミックスアップされて生み出された実釣性能は非常に戦闘力も高く、アングラーを強力にバックアップしてくれます。
21ジリオンSV TWの特徴
ここでは先代のモデルや他のライバル機には無い21ジリオンSV TW独自の特徴を紹介します。決して数字には表れない小さなこだわりをたくさん詰め込んだ新型ジリオンの高い完成度には様々な工夫や進化が見られます。
先代モデルよりもひと回り小さなボディサイズと劇的な軽量化
21ジリオンsv tw(左)と先代モデル(右)の比較
先代のジリオンと比べて一回り小さくなったボディサイズが特徴的な21ジリオンSV TW。パッと見た感じでもそのコンパクト化には驚かされますが、自重に至っては先代モデルよりも20gも軽い175gを実現し、大幅な進化を遂げています。重すぎず、軽すぎない絶妙な重さは一般的なバスロッドであればどんなスペックのロッドともバランスが取れるほどの高いバーサタイル性を持ち合わせ、様々な場面でその真価を発揮します。
ハイパーアームドハウジング採用で高剛性、高感度を実現
タフでヘビーデューティーなイメージの強いジリオンシリーズですが、大幅なコンパクト化と軽量化が実現した21ジリオンにもそのイメージはしっかりと受け継がれています。前作では高強度カーボン素材のZAIONを用いたギア側サイドプレートと、樹脂製だったセットプレートを共にフルメタルハウジング化し基本的なフレーム強度を大幅に向上させた21ジリオンは総合的な剛性は先代モデルよりも高く、ねじれやゆがみと言ったマイナスイメージとは無縁の関係。ハイパーアームドハウジングと呼ばれるこの技術は本来、相反する性能である「強度」と「軽さ」を両立させ、内部の駆動系パーツの耐久性アップと堅牢な作りによる明確な感度アップをもたらしています。
巻き心地よりも強さと耐久性を優先したハイパーデジギア採用
21ジリオンSV TWのメインドライブギア
滑らかでノイズの少ない巻き心地がフォーカスされる事の多いベイトリールの中で、21ジリオンのメインギアはハイパードライブデジギアと呼ばれるパワーと耐久性を重視したユニットを採用。高い負荷が掛かりやすい場面でもパワーロスとトラブルを最低限に抑えた心臓部はピニオンギヤを支えるハイパーダブルサポート(ピニオンギヤの両端にボールベアリングを配置し、パワー伝達能力と回転フィーリングを向上させる技術)と相まって長期間のハードな使用でも初期の使用感を変えることなくその性能を守り続けてくれます。
ハイパーダブルサポートとはピニオンギア両端をボールベアリング2点支持にすることで、ハンドルに入力された力をロスすることなく伝えて高効率で伝達する構造の事。ピニオンギア自体も塩噛みしにくい新形状、新素材にすることで、ゴリ感のない滑らかな回転を長期間維持する事が出来ます。
最新鋭の機能を多数採用し大幅に進化したG1ジュラルミンスプール
バーサタイルな性格が特徴的な21ジリオンの34/24mmスプールの重量はベアリング込みで13.4g
新型の21ジリオンSV TWには2段階可変式インダクトローターを持つ第三世代の電磁誘導ブレーキ「SV BOOST」を搭載。軽量なリグから重量級のビッグベイトまで快適にキャスト出来る性能を持ちながらも、後半の飛距離がイマイチだった今までのデメリットを打ち消した出力特性は、先代モデルをはじめとした今までのダイワ製ベイトリールには無かったキャストフィールでしっかりと飛距離を伸ばす事が可能な反面、バックラッシュなどのトラブルをほぼオートマチックに抑えてどんなアングラーが使っても思い通りのキャストが出来るほどの仕上がりになっています。また、マグネシウムの2倍、超々ジュラルミンの1.3倍の強度を誇り、航空機の構造材や精密機器等にも採用される特殊アルミ系合金「G1ジュラルミン」を使用した34/24㎜のスプールは、クセが無く非常にハイレスポンスな性格で、21ジリオンのバーサタイル性能にさらなる磨きを掛けています。
21ジリオンSV TWの使用感
ここでは私が実際に21ジリオンSV TW使い込んで感じた使用感を紹介します。皆さんもご存知の通り、リールには使ってみてはじめてわかることがたくさんあります。
飛距離(キャストフィール)
先代モデルと比べて一番進化した部分と言えるのがキャストフィールを含んだ飛距離面と言えます。今までSVコンセプトのウィークポイントとされてきた「後半の伸び」も第三世代のブレーキシステム、SVBOOSTによって明確に改善され、後半に掛けて気持ち良く飛距離が伸びる特性はほとんどストレスを感じるが事なく、イメージ通りの飛距離を叩き出す事が可能。ビッグフィールドでのオーバーヘッドからカバー際でのピッチングまで、狙ったポイントやエリアを自在に攻め込めるキャスティング性能は強力な武器となっています。
また、21ジリオンを使い込んでいて非常に強く感じるのは「トラブルの少なさ」
SVコンセプト直系の幅広いルアーウエイトに対応しながらも安定感のある動作性能は、バックラッシュなどのトラブルをオートマチックに抑えてくれます。ブレーキセッティングが多少ズレていてもしっかりと実力を発揮する特性は、SVコンセプトならではと言えるでしょう。
実釣で対応が可能なルアーウエイト
キャスティングはリールだけでなく、使用するロッドやライン、アングラー自身のスキルによって大きく左右されますが、21ジリオンでは1/4oz(7g)以上のウエイトを持つルアーであればほとんどストレスなく快適に扱う事が出来るほどの対応力を持っています。
特に21ジリオンに搭載される34/24mmのG1スプールは他のベイトリールと比べてややワイドな設定。レスポンシブなスプールを常に制御するSVコンセプトと組み合わされたセッティングは非常にバーサタイルな性格ながらも安定感のある出力特性が特徴的で、小さく軽いルアーよりも大きいもの、重たいもの、空気抵抗の大きいルアーとのマッチングで真価を発揮します。
テストで使用したルアーの一部。7g以上のウエイトがあれば、ほぼストレスなく扱える特性は数あるベイトリールの中でもトップクラス。次世代バーサタイルリールの代表格と言えるでしょう。
剛性感
アルミ製のハイパーアームドハウジングを採用した21ジリオンの剛性感は非常に高く、ヘビーデューティーを代名詞としてきたジリオンの名に恥じないタフさを持っています。滑らかな巻き心地よりも耐久性や初期性能を長期間維持するためのハイパードライブデジギアを採用し、内外ともに強度を高めた作りはリールに負荷の掛かるような場面でも、そのパワーをがっちりと受け止める事が出来るのはもちろん、ただ巻いているだけでもわかるほどカッチリとした高い剛性を感じる事が出来ます。
巻き心地
ハイパードライブデジギアを採用している21ジリオンの巻き心地は非常に静かで滑らか。ヌメヌメとした巻き心地はギアの歯面の細かさ(モジュール値)とギア本来の重さや強度で変わりますが21ジリオンは耐久性を重視したモジュール値でありながらその巻き心地はハイエンドモデルに匹敵するほどの質感を持っています。
また、21ジリオンを使い込んできて感じたのは何よりもその「耐久性」。私自身、道具の扱いは自他共に認めるほどラフですが、そんな扱いを半年以上続けていてもハンドル回転時のザラつきや違和感を感じる事のない作り込みは他のベイトリールにはない特筆すべき特徴だと言えます。ピーク時に見せる絶対的な性能よりも、長く続く安定的な性能を優先したセッティングは、長く使えば使うほどその価値を体感する事が出来るので、釣行回数の多い熱心なアングラーさんや実釣第一主義のエキスパートにとっては、これ以上ないリールに仕上がっています。
操作性
最新のブレーキシステムであるSVBOOSTによる伸びやかなキャストフィールに続き、個人的に21ジリオンで最も大きくリファインされたのはこの「操作性」ではないかと思います。先代モデルと比べ、とてもコンパクトでパーミング製に優れたデザインと20g以上の軽量化に成功した軽い自重。そして剛性感と耐久性を兼ね備えた作りは操作性が非常に高く、リグやルアーの繊細な操作が可能なボディデザインはとても大きなアドバンテージとなります。人間工学に基づいたサムレストポジションや劇的に改善されたトータルのコントロール性能は長期間の連続使用でも疲れにくく、アングラーのパフォーマンスを引き出して釣果をバックアップしてくれます。
21ジリオンSV TWのインプレッション まとめ
今回紹介した21ジリオンSV TW(左)と同時期にリリースされたシマノの20メタニウム(右)。高いバーサタイル性能など数々の共通点を持つ両機はライバル機種とされながらも次世代の主力機として絶大な人気を集めています。
21ジリオンSV TWの特筆すべき特徴
・ハイバランスな形状と自重で合わせるロッドを選ばない!
・幅広いウエイトのルアーに対応する高いバーサタイル性能!
・新型ブレーキ搭載でトラブルレスながら優秀なキャストフィールを実現!
・コンパクトでパーミングしやすく操作性と使いやすさが大幅に向上!
・クラストップの高い剛性で長期間安定した実釣性能を発揮!
21ジリオンSV TWは、使うルアーやフィールドを選ばないバーサタイルな性格が非常に特徴的な1台。ヘビーデューティー&パワーゲームの象徴とも言えた先代モデルと比べ、ベイトリールに必要な性能をバランスの良く満たし、しっかりとまとめ上げたニュートラルな性格は初心者、エキスパート問わず使いやすくなっています。
また、このリールを長期間使い込んで感じるのは先代モデルの優れた特性やウィークポイントをしっかりと理解し、大幅な改善によって劇的に進化させている部分。SVBOOSTや軽量化など、何よりも実釣性能を磨き上げる事にフォーカスした作り込みは、もはや別物のリールと言えるほどの仕上がりを見せてくれますが、耐久性タフさなどジリオン特有の美点はしっかりと残されており、その高いバーサタイル性と完成度を考えればどんな使い方をするにしても、「自信を持っておすすめ出来るリール」と言えます。作り手の”熱意”と”プライド”をひしひしと感じる事の出来る21ジリオンの優秀なパフォーマンスを、ぜひ皆さんの手で試してみて下さい。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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