2015年に登場したシマノの「ゾディアスシリーズ」が採用して一躍有名になったアルコナイトリング。最近では多くのエントリーモデルに採用されるようになりました。海外のロッドでは、かなりポピュラーに採用されているガイドリングの材質なのですが、日本ではアルコナイトについて詳しく解説しているメディアをあまり見かけません。
一般的に認知されている情報としては「sicリングの廉価版で性能がイマイチ、sicよりコストが安い。」といった物が多いでしょうか。
日本では長らくsicリングが主流でした。
良くも悪くもsicを基準として見てしまうため、sicより絶対性能が劣るアルコナイトに抵抗があったり、性能を心配してしまう方も多いようです。
特にちかみやと同じくらいの世代で、長くバス釣りに親しんできたベテランの方や、最近バス釣りを再開した復帰勢の方などはアルコナイトに多少抵抗があるように見受けられ、アルコナイトを搭載したロッドの購入や導入に二の足を踏んでしまう事も少なくなったありません。
今回は、アルコナイトリングの本当の性能について解説していきます。
今回の注意点
※今回は、本当に資料が少なく、海外からの情報やちかみやの知識や実体験を基に記事を書いています。極力正確に書いているつもりですが、間違っている部分があったら申し訳ありません。
Contents
アルコナイトとは?
ゾディアスシリーズの登場によってアルコナイトリングは広く一般に知られるようになりました。
アルコナイトリングとは、正確には”レインフォースアルミニウムオキサイド”という材質でハードロイやアルミナオキサイドと同じくハードガイドの一種になります。
簡単に言うとハードガイドの一番グレードの高いヤツ。という認識で大丈夫です。
アルコナイトの上位機種というと今ではsicとトルザイトくらいしかありません。
性能の面でも現在主流のsicに次ぐ性能を誇り、海外ではsicよりもアルコナイトの方が主流になっています。
上から3番目の性能と聞くと「意外と良いガイドリングかも?」と思ってしまいますね。
ちなみに現在圧倒的ガイドシェアを誇る富士工業の主流となっているKガイド。
海外向け製品にはKガイドでもアルコナイトの設定があり、その他にも海外向けの製品にはかなりアルコナイトの設定があります。
アルコナイトのメリットとデメリットsicとの比較性能
ここではアルコナイトリングのメリットとデメリット、性能を現在主流のsicと比較して紹介します。
アルコナイトリングの性能について
これはもうsicとの比較表を見て頂ければ良く解ると思います。
sic | アルコナイト | |
ビッカース硬度 | 22~24 | 13~15 |
比重 | 3.2 | 4.2 |
熱伝導率 | 60 | 46 |
曲げ強さ | 540 | 440 |
ヒートテスト | 500回以上 | 300回以上 |
ビッカース硬度以外は以外はSiCに迫るスペックを持っていて、他のハードガイドと比べるとダントツの性能を誇っている点がアルコナイト最大の特徴と言えます。
唯一弱点の硬度も13~15を誇り、この数値はトルザイトとほぼ同じです。
アルコナイトのメリット
・コストパフォーマンスが良い
アルコナイトリングの最大の特徴といえばコストパフォーマンスをおいて他はありません。sicの約半分のコストで済み、ロッド販売価格の大幅な低価格化を実現してくれます。
実はロッドと言うのはかなりガイドの価格がネックなんです。
メーカーが作ったロッドでもガイドは全て業界最大手の富士工業から買っています。
自社で製作出来ない部品なのでコストが掛かるんですね。
ゾディアスや今年モデルチェンジしたブレイゾンなどはガイドのコストを抑えた分、ブランクにお金を使っています。
アルコナイトリングの性能が認められたから出来た採用であって、もちろんロッドとしてはガイドよりもブランクの性能が高い方がより良いモノが出来上がります。
アルコナイトのデメリット
・硬度が低い?
硬度が低い。と言うのはアルコナイトリングの最大のデメリットとして広く認知されていると思います。上記した表にもある通り、アルコナイトリングのビッカース硬度は1300~1500ほどになります。
sicのビッカース硬度は約2200~2400なので、確かにsicと比べると硬度がは低いですが、アルコナイトリングの1300~1500という数値は、今話題のトルザイトリングとほぼ同等です。(資料によってはアルコナイトリングの方が硬い)
このことからも解るように本当はsicが極端に硬いだけであって、アルコナイトリングの硬度が特別低いわけではありません。
アルコナイトは削れる?PEラインは使用出来るのか?
結論を先に言いますと削れません。PEラインを使っても大丈夫です。

特に先ほどの紹介したゾディアスシリーズは感度向上の為、トップガイドにsicを採用しています。最もラインとの接触面が大きく、負担が掛かるトップガイドがsicであればほとんど影響はありません。
放熱性も極端に悪くはないので、通常使用ならラインやルアーを選ばず、幅広いスタイルに対応してくれるはずです。
アルコナイトのまとめとちかみや的見解
今回は、説得力を持たせるために具体的な数値を用意してみましたが、どうでしたか?
数字を並べて内容を読み解くと、思っている以上に理解しやすくなりますよね。
今回は、今注目のアルコナイトリングについて掘り下げてみましたが皆さんのアルコナイトリングに対するイメージは何か変わりましたか?
ちかみや個人の意見としましては、このスペックでコストを大幅にカットし、ブランクの質を向上させる事が出来るならもっと日本でも流通して欲しいと言うのが本音になりますね。
確かにsicと比べて性能は低いかも知れませんが、よっぽどのエキスパートであっても恐らくこの性能差には気付く事は出来ないと断言出来るほど、とても小さな性能差しかありません。
sicでもアルコナイトでも良いモノは良いんです。そんな小さな事は気にせずに良い製品はドンドン出回って欲しいですね。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。