ガイド関連の記事が続いているので、今回はガイドの種類と特徴について簡単に解説してみようと思います。
今日解説するのはガイドの形状(フレームの形状)ではなく、ガイドの材質(フレームの材質)についてになります。
ガイドの形状については、種類もとても多く、話が長くなってしまうのでまたの機会に改めてする事にします。(マニアックな内容なのでリクエストがあればやります。)
皆さんもご存知の通り、現在主流となっているガイドの材質は主にチタンとステンレスがあります。
チタンガイドは高級ロッド、メーカーのフラッグシップモデルに搭載されているような高いけど良いガイド、ステンレスガイドはエントリーモデルに採用されるコストを抑えた安いガイド。と、言った様な認識が皆さんの中にはあると思いますが、だいたい合っています。
知らなくても釣果に影響が出るような知識ではありませんが、知っているとロッドやガイドの本質をより理解出来ます。もしかしたら知識を披露して友達にも自慢出来る。かもしれないガイドの特徴をまとめてみました。
Contents
チタンガイドの特徴
最近の主流となっている小径のチタンガイドはとってもスマートで見た目もカッコイイですね。
ハイエンドモデルやフラッグシップモデルに良く採用されているのがチタンフレームになります。ステンレスフレームに比べて軽量で硬度も高いため高感度なのが特徴的で、耐腐食性にも優れています。(全く錆びないというわけではありません。)
チタンの比重は4.51(アルミは2.70)強度はアルミの6倍、鉄の2倍を誇ります。
また、ステンレスガイドが弱いとされている塩素系の腐食耐性が高いのも、ステンレスガイドとは大きく異なる特徴の一つです。
ステンレスガイドと比べると半分以上軽く出来るうえに、強度も高いわけですから単純な軽量化の他にもロッドに様々なメリットを与えてくれる、まさにガイドにうってつけの素材と言えます。
富士工業様のサイトに完璧なチタンガイドの説明文があったので引用させて頂きます。
ロッドコンポーネント用に専用開発したハイテンシルチタンフレームは、軽くてサビにくい純チタンの特性そのままに強靱性を加えた夢の合金。ハイテンシルチタンよりも軽く、しかも高い加工性によって美しい造形が可能な純チタンフレーム。この2種をそれぞれに適したモデル、サイズによって使い分けているのがFUJIチタンフレームガイド。
軽い
ステンレスと比べ、ハイテンシルチタンは63%、純チタンは57%の軽さ。ひとたび手にしたら、もう後戻りできない…
そんな驚きの軽さを、ぜひご体験ください。強い
ステンレスの4倍の強さ。
※これはハイテンシルチタンの数値です。サビにくい
耐食性の高さは、ハイテンシルチタンも純チタンも共通。チタンフレームは、メンテナンスの手間を確実に軽減してくれます。
※Fujiチタントップガイドは、フレームはチタン製ですが、パイプはステンレス製のため、釣行後のお手入れが必要です。
完璧!と思われるチタンガイドにも少しだけデメリットがあります。
まずは何と言っても値段が高い。これは皆さんもご存知ですよね。
その他にもチタンガイドはその固さゆえに一度歪んでしまうと修復が困難というデメリットもあります。また硬度が高いため、溶接などの加工も難しいとされています。
ガイドをぶつけたりして曲がってしまい、手で直そうとするとポロッと折れてしまったりする事も多々ありますので注意してください。
コストパフォーマンスを考えてバットガイド周辺はステンレスガイド、センシティブなベリーやティップ部分にはチタンガイドを採用しているロッドも存在しています。(少数ながら逆のパターンもあります。)汎用性としては、ステンレスガイドかもしれませんが、チタンガイドにはチタンガイドでしか得られないメリットがあると言えるでしょう。
ステンレスガイドの特徴
ちかみやが愛用しているこのロッドは敢えて径の大きいステンレスガイドを採用しています。それにはちゃんとした理由があります。
低価格でありながら高性能なこともあり、エントリーモデルから上位機種まで多くのロッドに採用されていて、一般的で現在の主流となっているのがステンレスフレームです。
チタンフレームに比べて粘りがあり、強度面も優れているため、乱暴な扱いを受けやすい遠征を伴う大物狙いで使われるロッドや、青物、底物狙いのビッグゲーム用ロッドにはあえてステンレスフレームが採用されている事も多々あります。
また、ウエイトが軽く、空気抵抗の大きいルアーをメインにキャストするロッドはガイド自体の重さを利用してロッドを曲げ、反発力を産み出すものがあります。その為、敢えてステンレスガイドを採用するロッドもあります。
メリットは低価格で手に入りやすいところ、デメリットは軽さや耐久性でチタンに劣っているところでしょうか。
確かに材質の優劣だけを見れば、チタンガイドの方が優れているかも知れませんが、メインに使用する予定のルアーや釣り方、ブランクによってはステンレスガイドの方が相性が良い場合がたくさんあります。
使用する条件を良く考えて、適材適所でガイドを選びましょう。
ノリーズがリリースするロードランナーが敢えてステンレスガイドを採用しているというのは有名ですね。
その他のガイド
チタンガイドやステンレスガイドの他にも、クロームガイドや真鍮製のガイドも存在しますが、今ではほとんど見かける機会が無くなりました。
そこで今回は、この場を借りて今注目の近未来ガイド、AGSについて触れてみようと思います。
AGSガイド

ダイワが20年の歳月を費やして2010年に発表したAGS(エア・ガイド・システム)フレームは上記2種のフレームと異なり、カーボン繊維でできているため、軽量なのが最大の特徴になります。
ちかみやも発表の少し前に「ダイワがカーボンのガイドを作ってる。」とは聞いていましたが、実際に実物を見た時は「タックルに進化もここまで来たんだなぁー」と、驚きよりも感動したことを良く覚えています。
AGSの驚くべき性能は、これまでのチタンガイドフレームと比較しても、大幅な軽量化と剛性を高めることに成功していて、重さはチタン素材と比較して約40%減、剛性は約3倍の強度を実現しているそうです。
詳しくはダイワ様から説明文をお借りして来たので、引用させて頂きます。
ガイドがカーボンになると何が違うのか?
カーボンを素材とする「AGS」は、いままで一番軽いとされたチタンのガイドシステムよりも約40%軽くなった。軽くなれば、ロッドを持つ手の疲れも軽減する。また、キャスト時の振り抜きスピードが上がるため、飛距離が伸びる。「AGS」使用時には、実に5%の飛距離アップが実証されている。さらにティップのブレの収束も早くなるので、安定性がぐっと良くなる。つまり、より正確に狙った場所に仕掛けやルアーを投入することが出来るということだ。
注目すべきは釣果につながる話ばかりではない。カーボンの特性を活かしたモノコック調のデザインは、いままでの金属素材むき出しのガイドと比べると、俄然カッコいい! 黒いカーボンロッドから格子柄のカーボンガイドがキレイな流線型を描いて突き出す様は、なんだか未来的でもある。
発売当初は“軽さ”と“デザイン”を中心に評価されていた『AGS』だが、実は、驚くべき“おまけ”があった。“感度”である。
『AGS』は、その素材がカーボンであることからチタンとは比べ物にならないくらい剛性が高い。そのため、ラインから伝わる信号をダイレクトにブランクに伝えることが出来る。『AGS』なら、細かいルアーの動きや魚の動きが手元にビンビン伝わってくるのだ。面白いことに『AGS』発売当初、DAIWAはここまでの感度の良さを予測できていなかった。実際に使って試したフィールドテスターやお客様の声から『AGS』の存在がいかに感度を高めているかを知ることになる。『AGS』は、それだけ前人未到の未知の製品だったというわけだ。
AGSのデメリットと言いますか扱う時の注意点として以下のことに注意しましょう。
カーボンはキズが入ると強度が落ちるので、ロッドの出し入れなどの際は、なるべくぶつけないように注意してください。
AGSはチタンガイドと比べて柔軟性がない為、瞬時に大きな負荷が掛かると折れる事があります。(でもこれはAGSだけではなく、全てのガイドに言える事です。)
よく「AGSは折れる。とか、破損しやすい。割れる。」などのうわさや話を聞きますが、ちかみやが実際に触れた感想としては上記した通り、チタンガイドと比べても極めて剛性が高いです。恐らく、AGSが破損するような衝撃ならロッド本体も無事では済まないと思いますが、簡単に壊れたりするようなものではない。と断言出来ますので、AGSの購入や導入を考えている方は安心して思いっきり使ってみてください。
チタンガイドとステンレスガイド、【AGSガイド】ガイドの種類と特徴、ガイドの選び方 まとめ
ガイドの話はマニアックな内容のため、手短に済ませるつもりでしたが、いざ書いて見たら思ったよりも伝えたい事が多く、思わぬ長文になってしまいました。
ガイドの選び方のまとめとしては
・感度や操作感を優先する釣りなら自重の軽いチタンガイドやAGS
・ファーストムービングなど、感度や操作性の優先順位が決して重要ではない釣りの場合は状況によってチタンガイドとステンレスガイドを使い分ける
というように、使用するルアーやブランク、フィールドなどの状況によって、適材適所で使い分けるのが最適解だと思います。
釣りは絶対性能が良いモノが全てではありません。
どの場面で何を選ぶのか?ちゃんとした正解を選べる”目”が大切です。
そしてしっかりとした選択をする為には経験が必要です。
そのためにはたくさん釣りに行かなくてはなりませんね。(口実)
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
ロッドテスターが解説するロッドパーツに関する深い話はコチラ!!


