ルアーの中でも少し特殊なカテゴライズであるタイニークランク。
皆さんは使ってますか?
クランクベイトというのは、ルアーの中でも実に多様な分岐と進化をして来たルアーで、シャローやディープ、はたまたカバーと言ったカテゴライズの他に「タイニー」と言われるカテゴリーが確立しています。
例えばポッパーやバイブレーションなどにも小さなルアーはたくさんあります。中にはタイニーポッパーやタイニーバイブレーションと呼んでも差し支えない様な小さなルアーも存在するのに他のルアーでは特に独立したカテゴリーとしては扱われていません。それなのになぜクランクベイトだけタイニーというカテゴリーが生まれたのでしょうか?
それは通常のクランクベイトとは少し違う使い方をするからなんです。
タイニークランクベイトというルアーはかなり使うタイミングやシチュエーションがハッキリしているルアーになります。
もちろん、普通に使ってもそのシルエットの小ささからイージーにいろんなサイズのバスを連れて来てはくれますが、あのマスコットのようなカワイイ見た目はその為にあるわけではありません。
この記事ではタイニークランクのちっちゃなボディに隠された驚異の性能と、恐るべき実釣性能をひも解いていきます。
Contents
タイニークランクとは?
最も有名なタイニークランクと言えばディープタイニーNでしょう。
リック・クランが長い間シークレットとして使っていた元祖タイニークランクです。
タイニークランクとは?
一般的なクランクベイトの中で、特にボディーサイズが小さいクランクベイトのこと。
(ちゃんとした定義はありませんが、ちかみや的にはおおむね50㎜、8gくらいのクランクベイトでベイトタックルでも扱えるモノ)
とってもカワイイ見た目とは裏腹に現在でも日米のプロアングラーのトーナメント・ウエポンとして活躍しているタイニークランクは、本場アメリカのトッププロ、リック・クランがディープタイニーNを製作している会社、「ノーマンルアーズ」と契約している時期にB.A.S.S.トーナメントの中でシークレットとして使い、数々の優勝と入賞をリック・クランにもたらしました。メディア等でウイニングルアーの紹介が「シークレット」や単に「クランクベイト」とだけ表現されていることが複数回あったのですが、そのうちのほとんどがこのタイニークランクを使ったものだとされています。
トーナメントスタート時はボートデッキの上にダミーのスピナーベイトタックルを複数本並べておき、スタートした後にストレージからタイニークランクをセットしたタックルを取り出していたそうです。その後、スタート会場近くにある釣られたバスをリリースするポイントまで戻って来てはタイニークランクを駆使し、リリースされたバスを再度釣って入賞するという驚きの実話も存在しています。
それほどひた隠しにされてきたタイニークランクは1999年の夏にリック・クランとノーマンの契約が解消された後、雑誌のインタビューでリック・クラン本人から公表されました。それまでは本来クラッピー用に作られたこのサイズのクランクをバスフィッシングで使うという概念はほとんどありませんでした。
タイニークランクのフックサイズが大きい理由


ディープタイニーNリッククランカスタムとワーミングクランクショット、両者のフックサイズに注目
上に掲載したタイニークランクの写真、ボディサイズに対してフックが大きすぎると思いませんか?
特にディープタイニーNの方はリアフックだけ大きくて非常に不釣り合いに見えます。
ですがこれにもちゃんとした理由があるんです。
タイニークランクはそのボディサイズから小さいバスを簡単に釣るためのルアーと思われている方も多いようですが、そうではありません。
タイニークランクを使用する目的は、”そのエリアにいるバスを根こそぎ釣る”というものです。
小さいバスはもちろん、トーナメントで勝つために必要な大きいバスも釣る事になりますが、本来の標準で装着されているクラッピー用の小さいフックでは直ぐに伸ばされてしまいます。それでこの様なボディサイズに似合わないフックを採用しているんです。
また、大きなリアフックには少しでもルアーのウエイトを重くして、キャスタビリティー性能を向上させる狙いも含まれている上に、大きなフックであればフロントフックとのクリアランスも確保出来るのでフック同士の”絡み”も防止出来ます。
タイニークランクはただ小さいボディであれば良いというわけではありません。
この様な大型のフックを装着されても、しっかりとアクション出来るようなクランクベイトとしての基本性能が高いモデルでないと、本当のタイニークランクベイトとして、また、最後の切り札としても活躍する事は出来ないのです。
こんな時は投げて巻け!タイニークランクの出し所
クラッチDRは日本のトーナメントで数々の実績を残している名作タイニークランクです。
タイニークランクはバスがスレ気味で、なおかつそこにバスがいるのがわかっている状況下で有効なうえ、クランクベイトとしてはアピール力が控え目で、バスにプレッシャーを掛けにくいので、バスの活性やスレ具合を問わずバイトまで持ち込みやすいというのが最大の特徴になります。そのかわりにアピールは弱いので、通常のクランクベイトのように広範囲にアピールをして遠くのバスに気付いてもらう釣り方には不向きです。それでもソフトベイトの釣りよりは広範囲をスピーディーに探れるので、バスの居場所が大まかに絞り込めている場合、何らかの理由で通常のルアーには反応しない時などに効果的を発揮します。
「バスは何となくこの辺にいるはずなんだけどバイトまで持ち込めない」というシチュエーションは良くあると思いますが、こんな時に、強すぎず弱すぎない適度なアピール力でプレッシャーにも強いタイニークランクはとても効果的なルアーです。この様な特徴は、特にバスの居場所を大まかに絞れていることが多い日本のフィールド事情を考えると、非常にマッチしたルアーだと言えます。
シャッドとの使い分け
ここまでの説明だと、タイニークランクのライバル、シャッドと使うシチュエーションが同じに思えますが、ちかみやは主にこのような状況の違いで使い分けています。
水が濁った時など、アピール力が必要な時はタイニークランク
単純な食わせの性能としてはシャッドの方が上ですが、アピール力の点ではタイニークランクの方が一枚上手です。雨や風などの影響で水質がいつもより濁り気味の時やローライトコンディションの時は、タイニークランクのアピール力が重要な役割を果たします。
シャッドではアピール力が足らない、もっとアピール力が欲しいと感じた時はタイニークランクにローテーションしてみましょう。
また、シャッドでは全然反応がない場合はアピール不足でバスがルアーに気付いていないのかもしれません。
このような状況の時、タイニークランクにローテーションすると急にバスが釣れ出す事がよくあります。
カバー周辺はタイニークランク
シャッドと比べてタイニークランクは浮力が高く、リップも立派な為、カバーやストラクチャーにとても強いという特徴を持っています。
さらにタイニークランクはシャッドと比べてウエイトが重いため、通常のベイトタックルでも扱いやすいというメリットがあります。
カバー周辺でバスがバイトした際、ある程度強引に主導権を握らなければならない状況や、キャスト数を重ねて手返し良くアプローチしたい場合はタイニークランク×ベイトタックルがとても効果的です。
タイニークランクにおすすめタックルとは?
タイニーブリッツDRはキャストもしやすく、良く釣れるのでタイニークランク入門にうってつけのルアーです。
ロッド
ウェイトだけでなく巻き抵抗も小さめのタイニークランクには、MLクラスで30t程度の低弾性カーボンをメインマテリアルとしたカーボンロッドが最適なタックルの一つです。基本的にタフコンディションの状況で使用する事が多いので魚の小さな吸い込みバイトを弾かずにしっかりと乗せられる事、軽いルアーを使用してもしっかりと曲がり、ルアーを自然と送り出してくれるようなレギュラーファースト~レギュラーテーパーのやや深く曲がるロッドが望ましいですね。
しかし、あまりに柔らすぎるロッドを使うと、不意の大物にしっかり対応できずにフッキングが上手くいかず、後悔してしまう可能性もあるので、注意が必要です。
タイニークランクはクランクベイトである以上、グラスロッドとの相性も決して悪くはないですが、最初の一本を用意するならMLクラスの低弾性カーボンロッドをおすすめします。低弾性カーボンであれば様々なルアーにも高い適応力を持ち、1本でシャッドや軽いポッパーなどのトップウォーター系を使えるようになるのはもちろん、トゥイッチやジャークなどの小技も出来るようになるのでカーボンロッドの方が使い勝手が良いと思います。
ロッドの長さはタイニークランクの他に、どの様なルアーを使うのかにもよって変わってきますが、タイニークランクメインならば6.6~7ftくらいの長めのロッドの方がリトリーブコースや潜行深度を調整する自由度が高くなるのでおすすめです。
リール
リールに関しては通常のベイトリールでも全然大丈夫ですが、ベイトフィネス用のリールを用意出来るとよりストレスなく釣りに集中出来るでしょう。ギヤ比に至っては使用する方のお好みで良いと思います。
ライン
ラインは10~16℔をメインに使います。ちかみやの場合はフロロの12℔あたりをメインに使う事が多いですが、クランクの潜行深度に合わせて微調整します。クランクベイトは使うラインの太さによって潜る深さが変わります。極端に太い場合、狙いたい障害物にコンタクト出来ないなんて事にならないように注意しましょう。
また、オダやレイダウンなどのカバー周辺で使う時はナイロンラインを使用する事もあります。ナイロンラインは浮力が強く、障害物回避能力が高くなります。
タイニークランクのまとめ
今回の特集でタイニークランクの本来の使い方やルアーとしての性能は伝わりましたか?
タイニークランクは時として、ものすごい実釣性能を発揮します。
ちかみや自身も過去に何を使っても全然反応が無かったのに、タイニークランクにローテーションしたら急に反応しだしたり、1キャスト1フィッシュを何度も経験させてもらいました。
どんなシチュエーションでも、どんなコンデションでも、それを打開して釣果アップに貢献してくれるタイニークランクを使わないのはとてももったいないと思います。
普段は出番がなくても、いつかは使う時が来るかもしれません。次回の釣行から困った時に頼りになるルアー、タイニークランクをボックスの片隅に忍ばせて見るのはいかがでしょうか。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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