クランクベイトは活躍するシチュエーションにあまり左右されず、年間を通して良く釣れるルアーとして非常に人気の高いルアーですね。
基本的には難しいテクニックを必要とせず、ただ「巻いている」だけで釣れてしまう魔法のようなルアーではありますが、使うロッドやタックルのが違うだけで劇的に使いやすさや釣果が変わるルアーであるということはご存知でしょうか?
「ただ巻くだけ」なのに釣果が変わるなんて・・・
そう思われる方も多いと思いますが、「ただ巻くだけ」だからこそ小さな部分が大きな差になって帰ってきます。
今回は「クランクベイトにはどんなスペックのロッドが良いのだろう?」「クランクベイトで釣果を伸ばしたい」「隣のアイツよりもクランクベイトで釣りたい!!」そう思っている皆さんに熱狂的なクランカーである私が長年に渡ってデータを集めて導き出した、クランクベイトの本領を余すところなく引き出せる理想のロッドスペックをご紹介します。
クランクベイトと一口に言ってもその種類は多く、シャロークランクとディープクランクではロッドやタックルに求められる性能が違います。今回はよりルアーの性能を引き出せるようにシャロークランク用とディープクランク用、2種類のタックルセッティングをご紹介していきます。
Contents
クランクベイトが本領を発揮するロッドのスペック
ではクランクベイトの性能を最大限に引き出せる理想的ロッドスペックとはどの様なものか?
シャロークランク、ディープクランク共に理想的なロッドスペックを挙げてみます。
シャロークランク特化型タックルのロッドスペック
※タイニークランク、固定重心型フラットサイドクランク、空気抵抗の大きい固定重心ラウンドボディのクランクベイト、2.5mより浅いミドルダイバークランク用

KTWのスナブノーズS5は私が知る限り、最も理想的なカバークランクとしてのスペックを持っています。
シャロークランクが理想とするロッドレングス
シャロークランク特化型のロッドレングスは7ftが基準となります。
長めのレングスを選ぶ理由は「トレースコースの自由度を上げる」ためで、カバー際で使うこともあるクランクベイトにとって、巻いてくるルートを調節してカバーギリギリを通すようにすることは一匹への近道となります。この時にロッドが長ければ通せるコースや角度も増えるので大きなメリットとなり、魚への有効なアピールはもとよりロッド角度の調整で障害物をかわすこともでき、ルアーの根掛かり回避にも役立ちます。7ftという長さは平均的な体格の方がストレス無く扱えるギリギリの長さで、基本的にロッドワークを必要としないルアーのため、ロングレングスはキャスタビリティー性能も高く、サーチベイトとして優秀な能力を持つクランクベイトにとってはデメリットはほとんどありません。
とは言っても人それぞれ体格差というものは存在するので7ftはあくまでも目安です。実際にロッドを振って見て、ストレスの無い範囲内で長めのレングスを選んでもらえればOKです。たくさんのストレスを抱えたまま長すぎるロッドを振り回すのでは釣れる物も釣れなくなってしまいますし、何よりも楽しくないですからね。
シャロークランクの性能を引き出すロッドパワーとテーパー
シャロークランクの性能を引き出すロッドパワーはML~Mクラス、テーパーはあまり先調子ではないレギュラーよりのゆったりとしたテーパーが理想的です。
クランクベイトと言うのは色々なボディサイズがあり、固定重心や重心移動システムなど内部構造もさまざま、特に名作と呼ばれるクランクベイトは固定重心+バルサボディで空気抵抗が大きく飛距離が出にくいものが多くあります。ボートフィッシングならともかく、プレッシャーが高く、足場に制限があるバンクフィッシングではキャスタビリティー性能も外せない重要な要素となりますが、このようなクランクベイトをポイントへ運ぶためにはロッド選びが非常に重要となります。キャスタビリティーの高くないルアーを快適にキャストする場合、ルアーの重量でロッドを曲げるのではなく、ロッド自身がテイクバックしただけで曲がってくれるようなしなやかなロッドパワーとテーパーが大切になり、やや柔らかめのロッドパワーとより少ない負荷で曲がりやすい反発力が低めのグラスか低弾性のカーボン、大きく曲がってロッド全体でルアーを飛ばしてくれるレギュラーよりのテーパーが理想となります。
また、シャロークランクとグラスロッドは非常に相性が良く、それぞれのデメリットを補い合ってお互いの性能を引き出す事が出来ます。グラスロッド自体はクセが強いのでどちらかというと中~上級者向けのロッドですが、クランクベイトを極めたい方には強くおすすめします。

最近リリースされたゾディアスの170ML‐Gはシャロークランクにとって理想的なスペックを持つおすすめの一本です。低価格で高品質が売りであるゾディアスのグラスラインはグラス含有率が高く、コンポジットながらもグラスらしさが強いロッドに仕上がっています。
ディープクランク特化型タックルのロッドスペック
※2.5m以上の潜行深度を持つクランクベイト、自重が20g以上のクランクベイトなど
固定重心ながらも優秀なキャスタビリティーを誇るブリッツMAX DRは5mレンジを直撃出来るスペックを持ちつつも引き抵抗が軽く、使いやすい特性で人気の高いディープクランクです。
ディープクランクが理想とするロッドレングス
ディープクランク特化型のロッドレングスは7ft以上の長めのレングスが理想となります。
ディープクランクはその性質上、着水してからある一定の助走距離がないと狙っているレンジに到達出来ません。いくら釣れるクランクベイトでも魚まで届かないのであれば意味がなく、ある程度のキャスタビリティーというのはディープクランクにとって必須の性能と言えます。裏を返せばより遠くへロングキャスト分、プロダクティブゾーン(有効範囲)も広がるのでチャンスが増え、効率良く狙いたいレンジをサーチする事が出来ます。また、ディープクランクはロッドを構える角度、(ロッドの先端を頭の上に構えるか、ロッドを水中に入れニーリングするか)によって潜行レンジを変える事が出来るのでロッドが長ければ長いほどその自由度が上がります。シャロークランクの部分でも説明したように、7ftという長さはストレス無く扱えるギリギリの長さで、キャスタビリティーにも優れているので無理のない範囲で長めのロッドをチョイスするようにしましょう。
ディープクランクの性能を引き出すロッドパワーとテーパー
ディープクランクの性能を引き出すロッドパワーはM~MHクラス、テーパーはレギュラーファースト~レギュラーを基本としたテーパーでシャロークランクよりも反発力の強い、ややハリのあるロッドが理想的です。
ディープクランクは何よりもロングキャスト性能とボトムや障害物にコンタクトした時の感度が大切です。ディープクランクはシャロークランクと違って自重が重く、キャスタビリティーが優秀なものが多いので、ロッドの反発力を利用し、飛距離を稼げるロッドパワーとテーパーが理想となります。遠く離れた地形変化や違和感を感じ取れる感度も大切で、クランクがちゃんと泳いでいるかはもちろん、キャストした先でルアーにゴミが絡まったかどうか?が分かるくらいの感度は必要です。霞水系では沈みオダ、リザーバーではレイダウン、琵琶湖などのウィードレイクではウィードを切り裂く力とウィードへの”タッチ感”も大切です。ロングキャストした先でヒットしたバスに主導権を渡さないパワーも必要となり、突き詰めれば突き詰めるほどディープクランク専用のロッドに対するハードルは上がりますが、その分理想のロッドスペックは浮き彫りになります。メインとするフィールドがどのようなタイプのフィールドかによって微妙にスペックは変化しますが、しっかりとルアーを飛ばしてくれるM~MHクラスのロッドパワーと曲がりやすいレギュラーファースト~レギュラーよりのテーパー、低~中弾性のカーボンをミックスしたハリがありつつもティップの柔らかいカーボンないしグラスコンポジットロッドが、ディープクランクの性能を大きく引き出してくれます。
ディープクランクには感度が低く、パワーとハリの無いグラスでは飛距離を稼ぐ事が難しく理想的とは言えません。低弾性のカーボンを使用したロッドか、最近主流になっている固めのグラスコンポジットなどが使いやすくおすすめです。
ノリーズがリリースするHB760Mは巻きモノに特化した設計で、中弾性カーボンながらもクランキングに特化したスペックを持っています。ノリーズが得意とするバリアブルテーパーはしっかり曲がって投げやすく、グラスのようなクセが無いので、最初の一本にはとても最適です。

クランクベイトの性能を引き出すタックルセッティング
クランクベイトにもその性能を大きく引き出すためのリールとラインのセッティングがあります。特にディープクランクではリールとラインのチョイスが重要な役割を果たします。
シャロークランクが最も釣れるようになるリールとライン
シャロークランクに用いるリールはハイギア一択です。フラットサイドクランクなどは早く巻く事が前提となっている物も多く、ローギヤリールでは巻くだけで疲れてしまい性能をフルに引き出す事が出来ません。ハイギアリールでもアングラー次第で遅く巻く事は出来ます。使い手の技量ではどうにもならない事由を優先してタックルで補いましょう。カバークランキングには太めのナイロンラインが最も相性が良く、16LB以上あればラインの浮力のおかげで障害物もかわしやすくなります。オープンウォーターなどで活躍するフラットサイドクランクには12~14LB程度のフロロラインが扱いやすくストレスを感じにくいのでその辺りをメインとすると良いでしょう。クランクベイトはラインの太さによって潜れる深さが変わるので、太さや材質にとらわれず、使うシチュエーションや状況で使い分けましょう。
ディープクランクが最も釣れるようになるリールとライン
引き抵抗が大きいディープクランクは、少し前までローギアのリールが主流になっていました。最近ではリールの飛躍的な進化と、引き抵抗が少なくても良く潜ってアクションするディープクランクの登場によって、一部のコアなアングラーは感度を優先してハイギアを使う方も少なくありません。とは言いつつもやはりそれはエキスパートアングラーの話。ハイギアリールにおける「巻き感度」はリールの剛性とも関わる深い沼なので、そこまでの絶対性能を追い求めている方以外はローギアのリールを選びましょう。
ディープクランクで重要なラインはフロロカーボン一択です。クランクベイトはラインの太さによって潜るレンジが変わると先ほど説明しましたが、ディープクランクはその影響が大きく、ラインの太さによって大きく性能が変わります。中にはその性能とキャスタビリティーを最大限に引き出すために8℔ラインを使うエキスパートもいます。浮力が高く、大きなリップで障害物回避能力が高いディープクランクは根掛かりの心配も少ないので、キャスタビリティーと潜行能力を優先した12℔程度のやや細めのラインをメインに10~14℔くらいを使い分けると良いでしょう。
クランクベイト中毒者が解説!釣果が変わる理想のクランキンロッドとは? 最後に・・・
ロッドやラインなど、タックルセッティング次第で大きく性能が左右されるクランクベイト。「ただ巻くだけ。」と思われがちなクランクベイトにも、その性能をフルに発揮させるには様々な部分に気を配る必要があります。
今回はクランクベイトに最適なロッドにはどの様な性能、スペックが求められるのか解説してみました。私自身、バス釣りを始めた小学生時代からクランクベイトが一番好きなルアーで一番自信があるルアーでした。理想のロッドを追い求めて散々クランキンスティックをとっかえひっかえし、今でもシチュエーションや状況によって色々なロッドを使っています。
ここに至るまで様々なタックルのトライ&エラーを繰り返しましたが、クランクベイトはしっかりとしたタックルを使って信じて巻き倒せば、必ず出会えるバスの数を増やしてくれる力を持ったルアーです。この機会に皆さんもクランクベイト用のタックルを見直し、一歩先行くクランカーとして、その性能を100%引き出してみてはいかがですか?
この記事が皆さんのクランキンスティック選びのご参考になれば幸いです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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