最近、非常に気になるスペック持ったロッド、バンタムファーストムービングスペシャル169M‐FM/2というロッドが発表されました。
バンタムでは初となるファーストムービングの名を冠したロッドで、今までにラインナップされていたバンタムシリーズとは一線を画すロッドになっています。
今回もスペシャルモデルという事で受注生産限定モデルとして販売を予定しているそうですが、マキモノ好きなアングラーにとってはどんなロッドなのか大変気になるところですね。
すでに、メーカーのホームページや各メディア等で大きな特徴や開発コンセプト、詳細なスペックが公表されているので、知っている方も多いと思いますが、このロッドが気になっている方に向けて、どんな性格のロッドなのかちょっとした個人的インプレションをシェアさせていただきます。
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バンタムファーストムービング169Mのスペック
先ずはどんなロッドなのか知るために基本的なスペックを見てみましょう。
(受注期間)2019年10月1日~2020年4月17日 2019年12月発売予定

出典:シマノ様
■ LENGTH : 6′ 9″ (2.06m) ■ CLOSE LENGTH : 130cm
■ MEDIUM POWER ■ Lure Wt. 6~18g (3/16~5/8oz)
■ One & half (Short tip one & half)
■ 自重 : 130g ■ 先径 : 2.1mm ■ 適合ライン : 10~20lb
■ Price : ¥46,000 (+tax)
以下、メーカーのホームページより製品紹介文を引用します。
巻いて、掛けて、獲る。
Bantamシリーズのファストムービングルアーへの
対応力を徹底分析し、ついに誕生。軽量であるが、引き抵抗が大きいルアー。
喰いこみ性能は譲れないが、フッキングレスポンスは失いたくない…
フィールドを問わずバスフィッシングの要となる3/8oz前後のファストムービングルアー(FM)に対応する最適バランスを求め、「アクションを感じる・しっかりと掛ける・疲労やストレスのないグリッピング性能」これらを解と設定。高い感度を保持しつつ喰いこみ性能に優れた低弾性カーボンを選定。そして新提案となるティップレングスをあえて短く設定した、従来とは逆のワン&ハーフ設計によって、ベリーのフッキングパワーを飛躍的に向上。また、360°あらゆるキャストモーションへの適応や、幾千を超えるキャストにおける疲労とストレスの解消に、絶妙な段差を残したセパレートグリップを搭載。
Bantamが出した1つの解答がこれだ。
ファストムービングゲームの極みを追い求めるアングラーに本物の1本を提案する。
バンタムファーストムービング169Mが得意なルアー
過去のバンタムシリーズはそれぞれの個性が強く、やや尖った性能を持ったロッドが多くありました。しかし、このロッドの公表スペックを見る限りでは、今までのバンタムシリーズと比べて使えるルアーのストライクゾーンがとても広い、マイルドな性能のロッドになっています。
明らかに軽すぎるシャッドや小型プラグ、ビッグベイトはさすがに難しいと思いますが、バス釣りの基本となる3/8oz前後の様々なハードベイトを中心に、幅広いファーストムービングルアーに対応出来るスペックはこのロッドの特筆すべき特徴の一つと言えるでしょう。

出典:シマノ様
バンタムファーストムービング169Mの特徴
バンタムファーストムービング169Mは様々な特徴を持っていることが公表されています。ここではこのロッドが持つ代表的な3つの特徴と、そのギミックを採用した本当の狙いを個人的な観点から解説します。
・従来のグラスコンポジットではなく、低弾性カーボン
バンタムファーストムービング169Mのブランクは、従来のバンタムファーストムービングシリーズで採用されていたグラスコンポジットではなく、低弾性カーボンを採用しています。
グラスコンポジットではなく、低弾性カーボンを採用するメリットはキャスタビリティーの向上や遠距離でのフッキング成功率UPが見込まれ、遠く離れたルアーの挙動を感じ取る”感度”の部分においてもアドバンテージとなります。同時にロッド全体の軽量化でき、スピナーベイトやバイブレーションなど、”巻き感”が大切なルアーをロングキャストをしてもしっかりとルアーの挙動を手元に伝えてくれます。
ロングレンジでのフッキング成功率の向上についも、グラスロッドとは比較にならないほどの”掛け感”があります。上記したように近距離はもとより、遠距離でもファーストムービングルアーの高い性能を発揮させるのであれば低弾性カーボンの方が適していると言えます。
・新提案のワン&ハーフ設計
このロッドの最大の特徴であるティップレングスをあえて短く設定した、従来とは逆の新提案のワン&ハーフ設計。
これはとても素晴らしい発想だと感心してしまいました。
皆さんはバイブレーションを遠投した先でバスがバイトした場合、バラシてしまった経験はありませんか?従来のファーストムービングロッドでは、どうしてもバイトを”ノセる”事を優先させるため、遠く離れた場所でのバイトの場合にしっかりとフッキングさせるためのロッドベリー部分のパワーや張りを犠牲にしなくてはならない場面がたくさんありました。このようなロッドでは遠く離れたバスに十分なフッキングパワーを伝えることが出来ずに、結果的にフックアウトしてしまう事が多く、特に重量のあるバイブレーションのようなハードベイトではその傾向が強くなり、フッキングの成功率を上げるためにベリーのパワーを上げれば今度はバイトを弾きやすくなってしまう・・・ファーストムービング専用機には常にこのようなジレンマが存在していました。しかし、バンタムファーストムービング169Mはあえて新提案のワン&ハーフ設計と先述した低弾性カーボンを採用する事によって見事にこのジレンマを克服したと言えるでしょう。
もう一つこのロッドのすごい所は新提案のワン&ハーフ設計の採用によって、ノリとフッキングを両立できたことによる、クランクベイトとスピナーベイト、異なるロッドスペックを求められる両者を、1本のロッドでカバーできる部分にあります。
ファーストムービングに詳しい方であればクランクベイトとスピナーベイトの共存について、ご説明する必要はないと思いますが、なるべくロッドの本数を抑えたいオカッパリ釣行においてはこの一本でほとんどのマキモノがカバー出来る心強いロッドになっています。

ロッドのベンディングカーブを見ると、高度なワン&ハーフ構造にもかかわらず、これほどまでにキレイなベンディングカーブ描く事が出来るのは技術力の高いシマノならではだな。と改めて思いました。他のメーカーではここまでのワン&ハーフは作れなかったのではないかと思います。
・絶妙な段差を残したセパレートグリップ
このセパレートグリップの段差。本当に必要なの?
思わずそう言ってしまいたくなるような微妙な段差ですが、様々なキャストモーションやキャスト時においてスムーズに握り替えができ、ストレス無くロッドを振り回せるので、とても疲れにくく感じます。
また、この極太なグリップは力を込めてロッドを振り抜いた際に起きるグリップサイドの”たわみ”を軽減する効果があり、力が逃げないようにする事でキャストの遠投性と安定性、アキュラシー精度を高める効果も期待できます。
もしかしたらこれから数年後には、このようなセパレートグリップがスタンダードになっているかもしれませんね。
バンタムファーストムービング169Mはこんなロッド まとめ
以上がバンタムファーストムービング169Mを個人的な見解でインプレションしたこのロッドの全体像になります。
このロッドはかなりもっちりした使用感があり、レギュラーファーストのテーパーで6.9ft.とレングスがやや長めなので、個人的にはジャークベイトやトップウォータープラグなどの操作系ハードベイト=ショートレングスモデルの私にとっては少々扱い難い印象があり、快適にルアーを操作するには少し気を使います。ロッドの特性としてはバッチリですが、この部分については好みの問題と言えるでしょう。それ以外のハードベイト、特にクランクベイトやバイブレーションなど、トレブルフックを搭載したハードベイトには素晴らしいマッチングを誇り、ルアーの性能を上手に引き出す様な特性は、”これぞファーストムービングに特化したロッド”と言える様な仕上がりになっています。もちろん、スピナーベイトなどのワイヤーベイトとの相性も抜群。6.9ftのやや長めのレングスとそれによる高い遠投性能、バーサタイルロッドにも負けないルアーの適応範囲の広さを考えれば、どうしてもタックルの持ち歩きが制限されてしまうおかっぱりでは大変重宝するロッドになります。このロッドの目玉でもある、新しいワン&ハーフ設計と類まれなるフッキング性能は本来両立が難しいとされていたクランクベイトとスピナーベイトを高次元で実現させています。持ち運びのためのワン&ハーフ設計では無いという部分を、皆さんもぜひ体感してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。