バスだけに留まらない、破格の水押しとスプラッシュ!
もはやルアーコレクターと化したちかみやが、実際に使用してのレビューを織り交ぜながら、ルアーの外観、形状と構造から特性をひも解き、超個人的な目線でルアーを解説していくルアーインプレッションのコーナー。
本日はデプス ラドスプリンガーについて掘り下げていきます。
デプスといえばビッグバスをターゲットに、独自のコンセプトで開発された高性能ルアーをリリースし続けるメーカーで、「狙った性能を大幅に向上させる事が出来るならば、他の性能を多少犠牲にしても狙った性能の特化を優先する。」という徹底したモノ作りのマインドと美学を持っています。ストイックなまでにデカバスを追い続ける多くのアングラーから圧倒的な支持を集めていますね。
そんなマインドを持ったデプスが世に送り出したペンシルベイトでは、前回紹介したラドスケールがありますが、今回紹介するのはさらにスケールの大きいラドスプリンガーになります。一見するとラドスケールのスープアップバージョンに捉えられてしまうほど、似たようなディテールを持つラドスプリンガーですが、いったいどんなペンシルベイトなのでしょうか?
特筆すべき特徴と共にラドスプリンガーの真の性能をひも解いてみましょう。
Contents
ラドスプリンガーのスペック

出典:デプス様
・スペック
Length 149mm
Weight 35.0g
Other Hook : #1x2pcs
フローティング
カラー13色
以下はメーカーホームページより製品紹介文を引用します。
ボイルするビッグスプラッシャー。
ビッグバスを含む大型フィッシュイーターをターゲットに、ラフウォーターの高速リトリーブにも対応するべく開発された“ラドスプリンガー”は、ベイトを追ってボイルする捕食サウンドをリアルに再現できるビッグスプラッシャーです。
ラドスケールとは異なる逆三角形状のフロントフェイスが水流を下方向へとスルーさせ、ハイスピードアクションでも姿勢を崩すことなく逃げ惑うベイトフィッシュを演出。RADSPRINGER/ラドスプリンガー
さらに僅かな窪みを持つカップ形状がエアをはらんだポップサウンドとスプラッシュを生み出し、バリアブルバランサーシステムによる変則ドッグウォークで小魚を追いまわす大型ベイトフィッシュさながらの捕食サウンドをもたらしてくれます。
150mmにせまるボディが生むアピール力と圧倒的な飛距離は、ビッグベイトでは届かない遠く離れたスポットへのロングディスタンス・アプローチを可能にするとともに、激しいリアクションバイトを誘発してくれます。■ACTION & DETAIL
■HIGH SPEED TWICH&FAST RETRIEVE
ハイスピードトゥイッチを織り交ぜたファーストリトリーブでは、ロッドを立てた素早い動きでゴボゴボというスプラッシュを引き起こします。
ボイルする大型ベイトフィッシュをイミテートする捕食サウンドは、ニュートラルフィッシュをフィーディングモードへと導く驚異的な威力を発揮します。■DOG WALKING
バリアブルバランサーシステムが引き起こす変則ドッグウォークは、ボディーサイズからは想像もつかないイレギュラーアクションを可能にしています。
立ち木や縦ストラクチャーのピンポイント狙いから連続ドッグウォークでのフラットエリアサーチまで、ロッドワークひとつで多彩なアクションをもたらします。■STEADY RETRIEVE
スロー~ミディアムスピードでのタダ巻きでは、引き波を立てながら左右に蛇行するアクションを見せます。
浮遊物を探して水面をフラつく無警戒なボラやウグイに見立てた演出は、スローになったビッグフィッシュに威力を発揮します。出典:デプス様
ラドスプリンガーの構造的特徴
ラドスプリンガーはラドスケールと同じく、ノーズアイ(鼻アイ)ですが、ラドスケールよりも水をボディの下方向へ逃がすような構造をしていてます。水を押さないのではなくて余分に掴んだ水は逃がしている。といった表現が分かりやすいかと思います。
浮き姿勢はラドスケールと同じく垂直気味で、スケーティングのドックウォークが得意な構造をしているとは言えませんし、実際にドックウォークの幅自体もそれほど大きくはありません。
搭載しているバリアブルバランサーがアクション中に自由に動いてしまい、ウエイトが安定せずに規則的なドックウォークをさせようとしてもイレギュラーなアクションが出てしまうので、理想とするドックウォークアクションの難易度を跳ね上げる要因の一つとなっています。
■FRONT FACE DETAIL
僅かにカップ形状の窪みを設けた逆三角形フロントフェイスは、前面で受けた水流をボディ下方向に逃がす事で安定したリトリーブ姿勢を保つとともに、エアをはらんだポップサウンドとスプラッシュで捕食サウンドを再現します。■BUMPY SOUND MOVING WEIGHT
ランダムに移動するバリアブルバランサーが、単調になりがちなタダ巻き系プラグとは異なるイレギュラーアクションをもたらし、絶妙なボディのヒネリとバンピーサウンドをオートマチックで発生させます。■OVER SIZE EIGHT RING
バスだけでなく、大型フィッシュイーター全般を想定したオーバーサイズ・エイトリングを採用。ビッグゲームにも通用する十分な強度を確保しています。
HOOK size #1出典:デプス様
ラドスプリンガーのアピールポイント
ここではラドスプリンガーが持つ大きな特徴を3つに絞ってご紹介します。
それぞれのルアーが持つ個性や特性、強み理解していれば、状況に応じて正確にルアーを使い分けられるようになり、より多くのバスに出会えるチャンスが広がります。
・ハイスピードでも大きくバランスを崩さない大柄なボディ

ラドスプリンガーは大柄なボディを持っていますが、ハイスピードリトリーブやアクションでも大きく姿勢を崩さないバランスを持っていて、この部分を見ると本来の使い方としては通常~高速でのリトリーブ+少しのロッドアクションがメインの使い方に設定されているのではないかと思います。ソルトウォーターの世界では一般的な使い方ですが、バリアブルバランサーの影響でイレギュラーアクションが発生し、バイトを誘発しやすい設計になっています。
・ポップサウンドとスプラッシュを発生させるフロントフェイス

出典:デプス様
ラドスプリンガーは独特な形状のフロントフェイスを持っています。わずかにくぼみのあるデザインは、リトリーブやアクション中に空気を巻き込んで甘いポップ音を出したり、大きく水を押してポッパーのように前面にスプラッシュを飛ばす事も出来ます。
また、このフロントフェイスのデザインは通常のルアーでいうリップの役目を果たし、リーリングしただけでもアゴの部分で水を掴み、ルアーの姿勢をキープしながらも左右へフラフラと蛇行するアクションを見せます。この時にバリアブルバランサーのウエイトが内部で移動する事によって非常にイレギュラーな動きを見せ、リトリーブだけでもバイトを誘発する事が出来ます。
・独特な音質のラトル音

出典:デプス様
デプスのルアーは独特のラトル音を持っています。
ルアーの内壁が”洗濯板”のような波状になっていて、ルアーの姿勢が変わってラトルボールが移動する際に「ジョロジョロ・・」という様な音を立てます。この独特な音がとてもバスに効果的で、アクション中にポーズを入れて垂直の浮き姿勢に体制を変える時などにはラトルが後方に移動してこの独特なラトル音が発生します。意識してポーズを挟めばラトル音をアクションの間に入れてあげることができ、ラトル音に敏感なシチュエーションでは大幅にストライク率を上げることが出来るようになります。
ラドスプリンガーを使った個人的感想と活躍する場面
ラドスプリンガーとラドスケール、両モデルを使った率直な感想としては、「規則正しいドックウォークアクションにこだわらず、ルアーの意図をくみ取りながらアクションさせるペンシルベイト。」というものです。
先ほど構造的特徴の項でも解説したように、このルアーは搭載するバリアブルバランサーの影響でイレギュラーアクションが発生しやすい設計になっていて、規則正しいドックウォークアクションを出すのが難しい仕様になっています。特に前回紹介したラドスケールはその傾向が強く、おそらくはデプスの考える、通常のペンシルベイトとは一線を画す唯一無二のアクションを追求した結果、ペンシルベイトのオーソドックスなアクションであるドックウォークを犠牲にして個性を獲得するに至ったのではないかと思います。この特性はラドスケールにも共通しているので、操作が難しい、動かし方がイマイチ分からない。などの評判を耳にする事の多い両モデルではありますが、そもそもからドックウォークありきのペンシルベイトでは無い。という大前提があり、上級者向けのペンシルベイトと言えます。
活躍する場面としては、メインベイトが大型の時や通常のペンシルベイトではアピール力が足らなくなるような荒れたシチュエーションが挙げられます。普段から活躍するようなルアーではありませんが、ビッグベイトのフォローとして使用しても効果的で有効なルアーになるでしょう。
まとめ
出典:デプス様
バスルアーには通常見られないマレットカラー。ラドスプリンガーのターゲットがバスだけに留まらない事を表現しているようなカラーですね。
バスだけに留まらない、破格の水押しとスプラッシュ!ラドスプリンガーのインプレション&レビューはここまでとなります。
ここでもう一度ちかみやが感じたインプレションをまとめますと、ラドスプリンガーはドックウォークアクションありきのペンシルベイトではありません。ドックウォークアクションも出来ますが、本来はもっと多彩な使い方の出来るペンシルベイト。ということを意識してアクションをさせればその性能を十分発揮させる事が出来ると思います。
それともう一つ、このルアーを扱う上で忘れてはならない事があります。
それはバス専用に開発されたペンシルベイトではないという事です。
おそらく、ラドスプリンガーがドックウォークアクションありきの設計でないのはこの理由が一番大きいのではないかと思っています。近海のソルトゲームからピーコックやバラマンディなど世界の様々なゲームフィッシュをターゲットにしており、ちかみやも近海のシイラゲームで何度か使用した経験があります。
こういったルアーフィッシングではドックウォークよりも高速リトリーブの方が効果的な場面が圧倒的に多く、高速でリトリーブしながらロッドで少しアクションをつける使い方が一般的になります。ラドスプリンガーはこうした背景を元に生まれたルアーなのでこのような設計になっているのではないかと推測しています。
とは言いつつも、バスにも十分効果的なルアーであることは紛れもない事実ですし、これほど個性的なペンシルベイトもなかなかありません。
今まではなんとなく使いずらいし、上手く動かないと言ってタックルボックスの中でラドスプリンガーをしまい込んでしまっているのであれば、これを機にもう一度水面へ出してみてはいかがですか?
ラドスプリンガーの意志をくみ取って正しい使い方をすると、もしかしたら思い出になるようなレコードフィッシュを連れてきてくれるかも知れません。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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